「あ、あの…」
「ほら、手を取れ」


どうしていいのかわからず、その手をじっと見つめてしまった。
そうしたら、痺れを切らした彼が私の手首を掴んで立たせた。


「怪我はないか?」
「あの、はい、ありがとうございます」
「そうか、良かった。見惚れるのはいいが、事故のないようにな」
「え?」


口角を少し上げて、彼はどこか歩いて行ってしまった。私は彼の言葉を、ぐるぐる回る頭で整理した。


「み、見てたのバレてる!」