あたしは地元で就職が決まった。
あと1ヶ月もすればあたしも社会人となる。
奏汰も勉強は嫌いだからと就職を選んだ。
選んだ、んだけど…


4ヶ月前。


「へ、東京?」


奏汰が決まった就職先は東京だった。
ここからだったら飛行機に乗らないといけないような距離だ。

どうしてそんな遠くを選んだの?
奏汰がそんなところに行っちゃったら…


「会えなくなる…」


いつだって一緒だった。
「会いたい」と言ったらすぐに飛んできてくれた。
奏汰がいないなんて、あたしの中ではもう有り得なかった。




あたしが嫌だと言っても奏汰の意志が変わることなんかなくて。
あっという間に卒業。

あれ以来、奏汰を見ると悲しくて。
今は隣にいるのにいなくなることばかりを考えて。
奏汰はあたしが隣にいなくてもきっと平気なんだなと思うときもあった。
そう思うととてつもなく独りに思えた。