うつむいた彼の表情に、少し同情する。

そうだよな。こんな女だ。

彼にしてみれば、いつかきっと私がかわいらしくなり、心も体も許すと思っていたにちがいない。

その時こそ、自分は草薙仁の彼氏として認められることになると、自らに課していたのかもしれない。

それを、私は一方的に破棄、否定しているのだ。

男の面子を、潰す女。ひどいヤツだよ、私は。

昔、アイツさえも、私は潰してしまったというのに……また繰り返しか。

「俺は……」

「?」

と、自嘲に浸っているところへ、

「俺は、お前の定義には、収まらない」

「っ、長さゎ」

驚いた声は、一気に距離を縮めた彼の口の中へ、飲み込まれた。

一瞬開けてしまった唇から、るらりと彼の舌が押し込められる。

「ぁ」

息苦しさに、小さな声が、零れた。

まるで食われるように私の脳髄が溶かされ、彼の存在が押しつけられる。

唇が熱を持ち、舌が絡まり、酸素が足りなくなり、吐息が塊になる。

はあぁ、と大きく。