「長沢――このあと、どうするつもり?」

それは、長沢が、そんなことはしないと信用しているからだ。

どこまで、私は彼を好きなのだろう。

押し倒され、こんなに冷静でいられる女など、どうだろうか。

しかし、彼への信用と、好意に、偽りはない。

だから、

「私を、犯す?」

冷静でいられる。

険しい顔でのし掛かってきた長沢の表情が、じわじわと解凍されていく。

行動を起こしたことへの後悔と、男としての欲望、しかし人としての理性が一緒くたになった顔は、とても無様に見えた。

その無様さがどこか、逆にいとおしく感じてしまうのだから、私は本当に、長沢が好きなのだろう。

しかし、私はあくまでも冷徹に、

「長沢。やめて。そんなことは、お前には似合わない」

「っ……」

彼の未来を、『未遂』へと定義する。

運命として、少なからず、望む。