「なあ仁、アイツのせいなのか? アイツのせいでお前、あんなところに倒れてたり、不審火事件に巻き込まれたり、俺と……」

「……」

よほど、そんなにも、衝撃だったのだろうか。

そんなに、私なんかと別れるのがイヤなのだろうか。

そう思われているのならば、そこまで想ってくれているならば、嬉しい。それは間違いない。嬉しい。

しかし、嬉しくても、喜べない。

取り乱しているのだろう……彼はアミダ地図で、紙ヒコーキを折った。

それを私へ投げてくる。

見事一秒の飛行を遂げ、テーブルを挟んで腰かけている私の手元へ、それは落着した。

気付けば、

「なあ、どうなんだ?」

長沢も、目の前に来ていた。

中途半端に腰を下ろしている長沢の目が、座る私を見上げてくる。

今までこんなにもまっすぐ、こんなにも二人きりで、見つめられたことがあるだろうか。

いや。

ない。