長沢にしてみれば、わけのわからないことだろう。

すべて私の中、私の過去、未来との相談事で、彼は認知できないのだから。

「なんなんだよ……いきなり……」

だから、不愉快そうな彼の表情も納得が――

「アイツか……あの、一ツ橋とかいう男のせいか……?」

「あん?」

納得が、いかなくなった。

「ま、待ちな長沢。なんでアイツが出てくんの? いやそれ以前に、どうして一ツ橋を知ってる?」

昨日の魔法陣の土台を形成したままだから、部屋には例の道具達が放置されている。

意味などわかっていないだろう、あのアミダくじのような紙を興味深げに眺めながら、長沢は答えた。

「教えてもらったんだ、そいつに。仁のところも不審火騒ぎに関係してる。行ってやれって」

あの狐目が……。

私の中の定義を少し組み換えよう。

『事件』が起こった要因の八割、いや九割は間違いなくあの男だ。くそったれ。