私の呪符がどちらかわからない以上、それを判別しなければならない。

判別しないまま使い、それが一ツ橋のもので、妙な仕掛けなどされていたら……まったくもって冗談にもならない。

私の定義に従い、燭台に火が灯った。私は炎との相性がいいらしい。四年前に知ったことだ。

燭台の火は細く伸びて、浮遊する呪符にまとわりつく。

紙の表面で絡み合っていた文字が、ペリペリと剥がされていく。

呪符の分解。

紙と、魔術効果と、公式とを剥離させる作業。

呪符を作る時と手順が逆なだけ。今まで何度となくやってきた――

はずが――

目の前で、異変を見せ始めた。

浮かぶ右側、素直に分解される呪符に対し、右側が、メラメラと炎を孕み出す。

即座に理解した。

右側が一ツ橋の残した呪符であると。

そしてこれは、実際のところ呪符などではなく、異形を封印した卵殻であると。