顔を上げたら、ちょうど私達が今日から通う高校の校舎が見えたところだった。
それを伝えようとカレンの方に視線を向けると同時に、
彼女は改まって私に話しかけてきた。
「あーりなっ!
好きな人は、無理にこじつけて作るものじゃないからね。
ーーーハルト君のこと、乗り越えるのには時間がかかってもいいんだから!」
私が辛い気持ちにならないように、ワザと明るい声で話してくれているのが分かった。
あぁ、ほんと、優しいなカレンは。
「...うん!ちゃんと前向くって、レン達と約束したじゃん!」
「無理はしないようにね!アリナは手がかかるんだから〜」
「ヘヘッ、わかってるわかってる。
ほら、高校着いたよ。恋バナはまた帰りにでもしよ!」
「そだね。えーっと、チャリ置き場はどこだっけ」
写真撮影の人で溢れかえる、今日から自分達が通う高校ーーー星瞬(せいしゅん)高校ーーーの校門を抜け、歩き始めた。