コウタとユリを見送って、シンゴに視線を向ける。




「シンちゃんは彼女いないよね。好きな人とかいないの?」

「ん、いない」

「へぇ。シンちゃんカッコいいのに!恋愛とか興味無いの?」

「...興味無くはないけど......俺、女子に対して無口だし、嫌われてるよ多分」






驚いた。


確かに、シンゴは超が付くほどクールだ。


私とミチコ以外の女子と喋っている所を見たことが無い。


しかも冷たいのは女子にだけで、男子には笑顔も見せてるから誤解する人もいるだろう。



私も最初は怖かったけど、そういう性格なんだと分かってからは

シンゴは本当はとても優しい人だと気づくのに、時間はかからなかった。



だって、ほら。







「シャイなだけじゃん。シンちゃん優しいんだから、自分の性格に自信持ちなよ」

「......ん、でも、俺最初アリナのこと怖がらせてただろ?絶対」






ネガティブだと言ってしまえばそれまでだけど。


シンゴは他人のことを一番に考える、暖かい人なんだ。





「昔の話だよ!今はシンちゃんのこと大好きだもん!」

「...よかった...っ」









へへっとはにかむように笑うシンゴを見て、心が温まらない方がおかしい。


私もつられて頬を緩めながら、小さく心の中で呟いた。









ーーーハルトが居なくなって、世界が狭まった私を連れ出してくれて。


ーーーありがとう。










そんな穏やかな気持ちでいたから、


五秒ほどの間を空けて、シンゴが発した言葉に、私は肩を揺らした。