「なになに、球技大会の話ー?」
ナツキが私の頭上に置いた手の上に、顎を乗せて喋り出した。
ミチコが応える。
「うん、楽しみだねーって。ナツキ君とコータロー君とシンちゃん、何出るの?」
「俺はバスケ!」
「僕らはドッヂ〜。ハンド部パワーナメんなよ!」
コウタがボールを投げるフォームをして、みんなが笑う。
...ふーん、ナツキはバスケなんだ。
運動神経良いし、勝ち進みそうだな。
なんて思って視線だけ頭上に向ける。
すると、ナツキと目が合った。
慌てて目を逸らすと、ナツキがいつものように私の頭を撫でる。
そのままふざけて私に体重をかけてくる彼に、私は照れ隠しで言った。
「ちょ、重い、やめてよ」
「えー、なんだよ今更」
つまらなさそうに私から離れる。
...まあ確かに、彼にとっては今更だろうけど。
ナツキはスキンシップが多い。
人前でもこうやって普通に触ってくるし。
部活終了後の着替え中に会っても、自分は上半身裸なのに気にしないし。
いつもはカッコいいくせに、そういう不用意なとこが...
すごい可愛いんだけど。
この頃にはもう完全に、
ナツキのことを、一人の男として見ていた。
そのことに、
ーーーこの時ちゃんと、気づいていればよかったのに。