練習が終わり、片付けをして、弓道場に集合し、先生と男子部長の話を聞いてから道場の掃除をして、その後着替え。
練習終了時刻から校門が閉まるまでの時間は三十分しか無いため、
片付けと掃除と着替えは超特急でやらなければいけない。
先生と部長の話が早く終わるよう祈っているのはここだけの話。
「うっわ!もう五時五十分だよ!」
「わぁぁ!あと十分だって!!急げっ!!」
我先にと女子更衣室に駆け込む弓道部女子。
「ちょっ!みんな早いよっ!」
少し出遅れて私も駆け出し、更衣室に続く廊下を曲がった瞬間。
ドンッ!
「ぅきゃっ!!」 「うおっ!?」
思いっきり誰かにぶつかって、変な声が出た。
加えて、男の人の声がそれに重なった。
慌てて顔を上げて、また軽く下げながら謝った。
「ごっごめんなさい!」
「あっこちらこそ...って、アリナじゃん」
あ、この声。
再び顔を上げて、今度はしっかり相手の顔を見た。