私は、最近になってようやく筋トレの大切さを実感していた。
(...ゴム弓でもこんなに大変なのに...本物の弓とかどれだけ重いんだろう...)
ゴム製の弓を握る私の両腕は、情けないことにガクガクと震えている。
が、ここで腕や肩が辛いと言ってラクに弓を引こうとしたら、射型が狂う。
この辺は本当に気合い。
筋力がつくまで頑張るしかない!
「はい、じゃあ今日はここまで〜」
女子部長の言葉に、私たちは床にへたり込む。
弓を引くのには、腕等だけではなく、腹筋や足筋も必要なのだ。
一時間もやりっぱなしだとそろそろ厳しい。
みんな一斉に各自の水筒に飛びつき、水分補給をした。
「うあぁ〜っ...つかれた......」
「...腕上がんない...毎日筋肉痛だし...爆笑...」
「ちょ、アヤネ、ヒナ、大丈夫?」
三人が何やら喋っているが...喋る気力も体力も残っていない私は、とにかく休むで精一杯だった。
「ちょっ、アリナ顔死んでる!大丈夫!?」
ハナが私の顔を覗き込み笑い出す。
アヤネとヒナタも、私に視線を向けて苦笑い。
...どんだけひどい顔してんだ私は...。
「...失礼だな...お前ら...私は生きてますよ...」
まぁ正直、精神的には死んでいた。
でも私達は弓道が大好きだから。
全国大会に出場するまで、負けるわけにはいかない!
自分に言い聞かせて、道場の片付けをするために、ガクガク震える足に鞭打って走り出した。