歌い終わり、ユウハと目が合う。
「...そうだ、レンがさ、笑ったんだよ!人がいっぱいいるとこだったのに...。
私がいなくても、クラスでも楽しそうで!
ーーーレンはきっと、進んでる」
順を追って話そう。
カレンは、人と触れ合うことが出来ない。
子供の頃、実の父親に暴力を受けていたからーーー。
彼女が唯一触れられるのは、アストだけ。
アストはカレンの幼馴染で、幼稚園から中学校までずっと同じ学校だったんだそう。
私も、前もって『触るよ』などと言えば、身体についたゴミなどは取れる。
だが、何も言わずに触れると、彼女の中の何かが弾ける。
一度、見たことがある。
恐怖と嫌悪でいっぱいな、私を見る彼女の鋭い瞳。
カレンが男っぽく振舞っているのも、それが原因だ。
顔が可愛く、身長も低め。
女子の中の女子を、そこらへんの男どもがほうって置くわけが無いのだ。
だから、強くあろうとした。
不用意に他人の手が自分に伸びないように。
そんな性格だったから、私と出会うまで女友達は一人もいなかったと、後からアストに聞いた。