「俺、中村さんに聞いたんだ。『神村さんどこか身体悪いの?』って。
そしたら、『身体は悪くないけど、アリナには背負ってるモノがある』って言ってたんだ。
すごく、不安そうな顔してた」
...カレン。
やっぱり私、心配かけてたんだな。
「中村さんは、それ以上何も言わなかったから...神村さんから聞けってことだろうって、俺は判断した。
...だから、話せるなら話して欲しい...力になれたらって思う」
ーーー私の口から、あの日のことを喋ったことは、ただの一度も無い。
話さないのではなく、話せないのだ。
思い出そうとすると、さっきのように倒れてしまうから。
そのため、今までレンたちしか知らなかった過去。
ーーーでも、この人になら。
少しだけの逡巡の後、私は口を開いた。