「...やめてッ!!」
ーーードンッ
思いっきり、ナツキの身体を押し退けた。
「...えっ、どうしたんだよ」
戸惑いがちに、ナツキが私に声をかける。
「...神村さん?」
私は、ドクドクと鳴る心臓を抑えるのに必死だった。
走った後のドクドクとは違う、生々しい嫌な音。
呼吸が早くなる。
息が、吐けない。
吸えない。
あ、これはダメだ、倒れる。
そう判断したと同時に、私はロケットペンダントを開いて、小さな錠剤を取り出す。
二、三粒入っていたのだろう、手に受け止め切れなかった錠剤が床に落ちて音を立てた。
無我夢中で薬を飲み込む。
段々と目眩が酷くなる視界の中で、愛する人の姿を探し、必死に名を呼んだ。