自分の席に、自分のお昼ご飯を取りに戻ったナツキを見ていると、
視界の端に入るクラスメイト達の視線が、一箇所に集まっていることに私は気づいた。
...そう、私だ。
クラスメイトの女子達は、私と目が合うと目を逸らす。
ーーーこの感覚には覚えがあった。
「おーっす、お待たせ!」
ナツキがコンビニ袋を提げて私の席に戻ってきたのを見るなり、私は立ち上がった。
「ご、ごめん、やっぱ私一人で食べるよ」
「え...なんで?いきなりどうした?」
「ごめん、ちょっと他クラス行ってくる。ごめんね」
「おい、神村さん!」
ナツキが私の腕を掴んだ。
そして問う。
「...なんで避けるんだよ」
だって。
ナツキは八組の一、二を争うイケメンなんですよ。
そんな人と二人でご飯って。
女子に睨んで下さいって言ってるようなもんじゃんか。
ーーーもう、ひとりぼっちは嫌なの。
何も言わない私に、もう一度ナツキが聞いたのが、
引き金となった。
「なんでだよ」
ーーードクン。
ナツキが、私の席の机に手をついて、顔を覗き込みながら、問うたのを見て。
...あぁ、こういう仕草が、女子をドキッとさせるんだろうな、なんて思いながら。
私の脳裏には、ひとつの場面が浮かび上がっていた。