高校生活は緩やかに過ぎていった。
私は入学してから一度も発作を起こさないまま、
中学の毎日とは比べものにならないくらい、平和な日々を送っていた。
【四月二十三日】
入学式から三週間が経った、ある日の昼休み。
「ミチコー!」
「今行くー!」
廊下から名を呼んだ女の子と一緒に、サッカー部マネージャーのミーティングのため、教室を出て行くミチコ。
「レイ早く〜」
「はいはーい、ちょっと待ってね!」
同じく名を呼ばれて、新体操部の昼練習のために教室を出て行くレイ。
「じゃあねアリナ。行ってきます」
ハルカはクラスの室長のため、週二回のペースで議会に参加する。
「いってらっしゃーい!」
私は笑顔で手を振る役目。
レイは背が低くて慌てん坊かつ忘れん坊な女の子。
ハルカは髪が短く、スポーツ抜群のオーラを出している、優しい女の子。
ミチコと仲良くなった二人と私はとても気が合い、移動教室やお昼ご飯など、自然に四人で行動するようになっていた。
その三人は、お昼休みの時間はとても忙しい。
四人揃って一緒にお弁当を食べれたのは、入学式翌日の日だけだった。
かと言って、三人の予定がいつも重なる訳では無いので、今日まで私と誰かもう一人か二人は教室に残っていたのだが。
(ぼっちご飯はさみしいな〜)
ポツンと机に一人座って、肘をついてぼんやりしていた。