「ミッちゃんがクラスの子と仲良くしたいって気持ちは分かるよ。

それを相手に伝わるように、精一杯話せばいいんだよ?

あ、この子人見知りなんだなって気づいたとして、ミッちゃんだったらその子を無視する?」


「...しない、です」


「うん、がんばれ!」




エールを送ると、ミチコは輝くような笑顔を見せた。




「アーちゃんありがとう!!」








そう言い残して前を向いた。


私も晴れやかな気分にはなったが、少し暗い気持ちも残っていた。



ーーー中学のこと思い出したからかな。



心臓は落ち着いてはいたが、ゆっくり深呼吸をする。













朝のHRは、担任の先生(やはり昨日朝教室に入ってきた小太りの男性が担任だった)からの事務連絡のみだった。


あと五分で一時間目の授業が始まる、という時間にHRは終わった。



一時間目は...数学か。


机の中から数学の教科書とノートと筆箱を取り出し、授業の用意を整えると、
私はまだ喋ったことのない後ろの席の子に話しかけた。






「...おはよ!名前、なんて言うの?」








平和な一年を過ごせそうだな。


と、この時は心から思っていた。