「あれ?かわい子ちゃん発見!」
こっちにもわざと聞こえるボリュームでコウタが言った。
あからさまにビクッとしてしまい、少し恥ずかしくなる。
「え?あ。八組の人だよ。...さっき目が合った...よな?」
ナツキが私に問いかける。
少し緊張しながら私は言った。
「う、うん。朝、体育館前で騒いでた人たちですよね?」
「敬語なんて使うなよ!僕浩汰!よろしく〜」
「よっよろしく」
どもってしまった。変な声出た。すごい恥ずかしい。
そんな私の様子を見て、ナツキがよく響く声で言った。
「おいコウタ、びびってんだろこの子。俺は佐伯夏軌。よろしゅう!」
ーーーこの日、目が合ってなかったら。
携帯を忘れてなかったら。
ナツキ達が放課後の教室にいなかったら。
ーーー私たちは仲良くなっていなかったのかな?
それとも、また別の理由で仲良くなっていたのかな?
それはわからないけど、これだけは言える。
ーーー私の人生を変えた奇跡が、この日この瞬間起きたんだって。