「ちゃんと歌えよ〜ナツキ」
「やめっ、みんな見てるから!ただの恥晒しだからな!?」
「コウタ鬼畜だなお前!というわけで、言い出しっぺのシンゴ君どうぞ!」
「無茶振りやめろや、あっははは!」
...全員爆笑して、随分と楽しそうに騒いでいる。
誰かが誰かに高校の校歌を歌わせようとしているらしかった。
ボーッと見ていると、その中の一人の男子と目が合った。
短髪が似合ってる、カッコいい人。
ドキッとして、慌てて目を逸らす。
するとミチコが耳元で囁いてきた。
「あそこらへんの男子カッコよくない?ガキっぽいけど!」
「ん〜、なんか今年は美男美女が多いって噂らしいよ?友達が言ってた!」
「へー、そうなんだ!ってすごい情報だねそれ」
あはは。と笑い合う。
ようやく着いた体育館に入り、上履きを脱いで体育館シューズに履き替える。
これから、恒例の長い長い校長先生の話だと思うと憂鬱だった。