ーーーキーンコーンカーンコーン
チャイムと同時に、教室のドアが開いた。
入って来たのは、眼鏡をかけた、少し小太りの男性。
みんな自然に各自の席について、入って来た男の人を凝視する。
あの人が私たちの担任かな?
と思っていると、その先生から事務的な内容が告げられた。
「おはようございます。今から入学式なので、番号順に並んで移動します」
ザワザワとした空気の中、一斉に廊下に出る。
私も廊下に出て、前から四番目に並ぶ。
すると、出席番号三番の女の子と目が合った。
「...あのー、アリナちゃん、だよね?」
「えっ...?あっ、同中の!?」
「そうそう!去年一組だった、美智子って言います!」
加藤美智子(かとう みちこ)。
同じ中学で、名前と顔だけは知っていたけど、この日まで喋ったことはなかった。
ーーー彼女がいなかったら、私はこの先ずっと、この入学当初の暗い気持ちを抱えたまま生きていたかもしれない。
ーーー感謝してもしきれない、本当の、友達。
ーーーこの時は、未来に起きることなど分かるはずもなく、軽い気持ちで仲良くなった。
「「よろしくね!!」」
お互い元気よく挨拶して、体育館へ向けて歩き出した。