「お前、高1?」
思ったよりも乱暴な口振りに戸惑った。「…なぁ?」
黙ってるアタシを面倒くさそうに促す アタシはコクンと頷いた。
天国一年生。
「オレも一年。ヤクザ一年。」
アナタは人なつっこい笑顔でアタシを見つめた。
まるで柴犬みたいだ「…って、反応なしかよ」
不満げに唇をとがらす
ナイキのTシャツにダボダボのジーンズサラサラの髪
可愛い顔
耳にシルバーのピアス
アタシのイメージするヤクザとはかなりちがってる

「お前、顔にでてるし。わかりやす」
アナタはアタシの頬を軽くつねると優しく微笑んだ。

「次、降りっから」アタシはホッと胸をなで下ろした。
アタシにはこの状況対処しきれない。

車内に駅をしらせるアナウンスが響く。アタシの知らない通り過ぎるだけの街。
「ほら、いくぞ」 「えっっ?」
アナタはアタシの腕をとると閉まる電車から飛び降りた。
アタシはあまりの驚きに、ただ呆然とアナタの肩に刻まれたウサギのタトゥーを見つめたんだ。