美那はヒクヒクとしゃくりをあげ、何かを伝えようとする。

『好きだからッ……何でもしてもらいたいんだもん。 してくれたら何か嬉しいんだもん…… ワガママってッ わかってるもん。』

それは今まで明かされなかった我が儘のわけ。

馬鹿でちっぽけな理由に、大きな溜め息が零れた。

『……馬鹿』

俺は泣きじゃくる美那の前にあぐらをかいて座る。

『ごべんなしゃい! ぼうにゃにも言わだいから! 嫌わにゃいで……』

美那の顔は涙と鼻水でグシャグシャで、何を言ってるかもわからなかった。

でも何となく、言いたい事は解るんだよね~……

だって俺、下僕歴長いからさ。

『ほら…… コンビニにティッシュ買いに行くよ? これからは美那も一緒に来てよ』

『ひっく…… 結城…… 好きだからね』

この馬鹿な女王様には笑えてくるね。

『わかってる。 ゴムも買うんだろ?』

『買わない。 恥ずかしいから』

『うぉい!』

美那の我が儘。
少しばかし可愛いと思ってしまった俺。

【好きだからワガママ言うんだもん】

確かに嫌いだったら一々言わないかんね。


『俺、確かに舞子ちゃん可愛いと思ったけどさぁ……』

『やっぱり思ってたんだ。』

『あはは! でも付き合いはじめた頃の美那みたいで可愛いなぁと思っただけ』

『え?』

『あれ? 照れた? 可愛いね』

『うぅ~……』

時に女王様で、時に子供で……
そんな美那がきっと自分には一番合ってるんだろうな。

タイトル変えるか。
【女王様と下僕】に。

『でもワガママはほどほどにしてね?』


【END】