次の日の学校帰り。
美那と2人でコンビニに寄ると、舞子ちゃんがレジで立っていた。

『今日は制服なんですね』

舞子ちゃんはそう言って笑う。

『だって俺、学生だもん』

『あ、そうでしたね!』

やっぱ可愛いよな……
彼女の笑顔は昔の美那を思わせる。

【結城くんってカッコイイですよね】

【結城くんの事好きなんですけど】

【嬉しいです】

『結城、今の子なに?』

美那が不機嫌そうに、俺の肩をつかんで言った。
一気に現実に戻された気分だよ……

『何ってここのバイトさんだろ。 見りゃわかんじゃん』

『そうだけど』



買い物を済ませ、家に帰っても美那の機嫌は直らなかった。

『美那ちゃーん』

『……』

『そろそろ帰らなくていいんですか~?』

……お手上げだ。
こうなった美那はテコでも動かない。

俺は諦めたように溜め息をつき、本棚にあった雑誌を手にとった。

『きて……』

その瞬間、何かを呟く美那。

『あ? 何か言った?』

『コンビニ行ってきて』

ったく、またかよ……

『今度は何? アイス? ジュース?』

『コンドーム』

『ぶっ!! アホか!』

美那の顔を見ると、顔は真っ赤で鼻も頬も膨らませ……
どうやら本気のようだった。

『買えないの? あの子がいるから? 私のことよりあの子のほうが好きなの!?』

浴びせられた罵声に俺は耳に塞ぐ。
こういうのは無視が1番に決まってるからな。

『聞いてんの!? 結城!!』

でもそれも限度ってのがあんだぞ?

『ふざけんなよ!? お前こそ俺の事好きじゃねーだろ! あれしろ、これしろってさぁ!』

『だって……っ』

『俺の事、困らせて何がしてーんだよ!』

つい、勢いまかせで溜まっていた不満を美那にぶつけてしまう。

全て言い終わった後、すっきりとした俺に引き換え美那は大粒の涙を零していた。

……お前が泣くの意味わかんねーから。
俺が泣きたいっての……