……ってなわけで次の日もバス停で待っていてやった。

『絶対にいると思った……』

明らかな呆れ顔。

『アズマってバス使ってる?』

『いや、車あるし』

『じゃあ何でバス停に毎日いるの?』

『毎日いるのは舞じゃん。 俺は近くに家があるから通るの!』

アズマはまたまた呆れたように言った。

そっか。
ご近所さんなんだ。

って、この辺りは高級高層マンションばっか。
とてもじゃないけど、アズマみたいな若い人が住める所なんて1つも……

『俺、もう行っていい? せっかくの休みは家でゆっくりしたいし』

そんな事を思っている私に、アズマはそう言って歩き出した。

……そうだ!

『私もアズマの家に行く!』

『却下』

え〜!
そんな即答しなくても‼︎

でも……着いていっちゃうもんね。

『じゃあ、もっと仲良くなったら連れてってね!』

私はそう言って、アズマの背中を見送る。

その後でバレないように距離を取り、そっと着いていった。

アズマが入っていったのは、高層マンションの中。

マンションの入口には、リモコンで開くシステムの門。
指紋で開く入口。

……アズマって何者……?

閉まる門に焦って飛び込むと、シャツの裾を門に挟んでしまった。

『ヤバっ! ちょ、助けて!!』

遠くに見えているアズマに助けを求めると、コチラに気付いたらしく腹を抱えて笑っていた。

笑ってないで助けてよ!

アズマの持っているリモコンで門が開き、私はようやく脱出する事が出来た。

『マジで、どうしようかと焦ったぁ!』

『門くらい飛び越えてくりゃ、いいじゃん』

『だって、そしたらセ○ムの人が駆け付けてくるんでしょ⁉︎』

『あはは! それ見てみたかったなぁ!』

呆れた……
私より全然、子供じゃん。


それより家賃の高そうなマンション。
こんな所に住めるなんて、アズマの謎は深まるばかりだ。

一体、何の仕事してるんだろう……