『やっぱカオちゃんいいわぁ~』

最近、うちのクラスのブームは「愛を競う事」

『どこが?』

『ヤスみたいなお子様には、まだカオちゃんの魅力わかんないかな?』

クラスメートである小泉薫に対する愛情を競い合ってるらしい。

確かに顔は断トツで可愛い。
それに小さな背に似合わずスタイルもいい。

でも嫌な噂が多い女だ。

【誰とでも寝る女】

でも……俺とは寝なかった。
それどころかキスだって一回も……

誰も知らないと思うが、俺と薫は付き合っていた。
たった一週間の間だけど、8日目に薫から別れを告げられた。

『意味わかんねぇ』

もっと強引に攻まるべきだったか?
でも一週間でヤるなんてがっつきすぎだろ。

いやでも、やっぱヤるべきじゃ……

今でも悶々としている。

薫は、はっきり言って見る目がない。

『もっと自分を大事にしろっつの』

『ん? 誰の事?』

『……え?』

突然、背後から聞こえた甘い声に驚いて振り返る。
すると、そこには薫が立っていた。

『あ、いや…… 薫の事じゃないから』

『へぇ~…… あ、メールだ』

薫はポケットからブーブーなる携帯を取り出して画面に食い入った。

『彼氏っすか?』

『当たり! 今日は遊ぶ約束してんだ~』

『ふーん……』

俺、知ってるよ。
薫がいつも何処でデートしてるか。

ラブホに直行。
そんで次の日には「フラれたぁ」って騒ぐんだ。

毎度の事なんだからいい加減わかれよ。

つか、仮にも元カレにデート自慢すんなよ……




『フラれたぁ~!!』

ほら、ぴったり1日後。

『馬鹿かお前』

『ヤス冷たい!』

『そりゃ毎回ですから』

『あはは! それは失礼しましたっ』

薫はそう言っていつものように笑う。

俺も結構辛いんだけどなぁ……
薫のその笑顔見るの。