「ごめんね、アイツ、可愛い女の子苦手なんだよね。愛奈ちゃんが普通以下の女の子だったら問題なかったんだけど」


フォローも上手い順一に、綾香の彼だと思ってもうっとりしてしまうのは、柚木が去り際に、


「パーティーで男漁りするなよ!クラブのイメージダウンにもなるからな。お前じゃ無理だと思うけど」


と爆弾を落としていったからだ。


初対面の相手に言うこと!?
しかもオーナーの知り合いの相手に!?


そのうえ、知らなかったとは言わせない!スポーツ用品メーカーのうちの会社、ここにジムのマシーンから子供の水着まで卸しているというのに!


私の頭の中にまた1つ、柚木の情報がインプットされていく。


取引先の社員相手にパワハラまがいなことを言う最低な男。


誰が、取引先の大事な場でそんな失礼なことするっていうの!馬鹿にしてる!綾香の彼がここに居なかったら怒鳴っていたかも。


「綾香、ゴメン。愛奈ちゃんも。また後で」


時計をチラリと確認して眉を下げ足早に去って行く順一を二人で見送った。