小泉は意見を述べた。
彼の考えた突入作戦に、小山内は渋い顔をする。
その作戦は、小泉一人に掛かるリスクが、余りにも大きいからだ。
だが…
現状では、それ以上に良い策は思いつけなかった。
うららの首にはナイフが押し当てられている。
ネゴシエイターが必死になだめすかし、時間を稼いでいるが、
いつ首を掻き切られるか分からない状況で、
救出には一刻を争う事態になっていた。
小泉の作戦が、すぐに全隊に伝えられた。
皆、こっそり静かに隊列を組み替える。
小泉は一課の刑事を数人連れて、その場を離れた。
向かったのは屋上。
屋上からロープで外壁を下り、15階のレストランの窓から、密かに侵入しようとしていた。