小泉の中に、激しい怒りが沸いていた。
冷静ではいられない。
もう我慢する気もない。
忙しそうな小山内を掴まえ、進言した。
「小山内部長、お願いです。
俺を使って下さい」
「駄目だと言っているだろう」
「…… 使って頂けないなら、単独で動きます。
刑事としてではなく、夫として妻の救出に向かいます」
小山内と小泉は、数秒睨み合った。
小泉は本気だ。
その目を見れば、小山内にも伝わった。
睨み合いに勝利したのは、小泉。
小山内は溜息をついて聞いた。
「どうしたいか、言ってみろ。
無策でそんなこと言い出した訳じゃあるまい」