うららは顔を上げた。
小泉を見ると、優しい目を向けてくれた。
沈んだ気持ちから一転、うららは喜んだ。
自分の監視を小泉がやってくれるなら、話しは別。
これからは定期的に会って話しが出来るのだ。
是非にと、お願いしたいくらいだった。
パッと笑顔になるうらら。
それを見て小泉は、スーツのポケットから四つ折の紙を取り出した。
広げた薄い紙は、A4サイズ。
茶色の枠組みと、文字が書かれている。
小泉はカウンターテーブルに用紙を置く。
胸ポケットからボールペンを引き抜き、うららに渡した。
「ここに名前と生年月日、住所を記入しろ」
うららは言われた通り、茶色の枠線内に記入した。
今の話しの承諾書だろうかと、良く読まずにそれくらいの気持ちで書いていた。