浮かない顔のうららに、芹沢が言う。



「あちゃ〜 あからさまにガッカリしてるね〜」



知本がコートを脱ぎながら、苦笑いする。



「当然そうなるでしょう。

それは彼女のせいじゃなく、小泉警部のせいですが」



横山はうららの隣の椅子に座り、頭を撫でてやる。



「小泉室長じゃなくて、ごめんな。

多忙という事もあるけどさ、

男って、弱っている姿を女に見られたくない生き物だから、分かってやってよ」




横山が言うには、小泉の左足のギプスは、先日やっと外れたそうだ。


それまでは、左足を庇いながらの生活。


出勤しても外に出ず、対策室にこもって仕事をしていたらしい。