小泉は激痛に顔を歪め、声にならない悲鳴を上げていた。


左足にコンクリートの塊が直撃し、膝から下の骨が砕けていた。



そんな状況でも、校舎の崩れは止まってくれない。


爆発音が一階から聞こえ、完全に崩れ落ちるまで1分ともたない状況だった。



「小泉さんっ!小泉さんっ!!」



うららは知本の腕を振り払い、駆け寄ろうとする。



それを止めたのは、小泉だった。



「来るなっ!早く逃げろ!

知本、うららを連れて行けっ!!」



「警部…」




知本は一瞬の躊躇を見せる。


ここで見捨てれば、小泉に待っているのは、死あるのみ。



小泉は激痛に堪えて、上司としての最後の命令を下した。



「これは命令だ!
知本、うららを連れて直ちに脱出しろっ!!」