階段の踊り場で足を止め、知本はホッとした顔で二人を見上げた。
床の崩れが、二人に追いついた所であった。
急いで階段を下りる途中、頭上に無数の亀裂が走った。
天井が砕けて、バラバラと落ちて来る。
分厚いコンクリートの塊が、二人をまさに押し潰そうとしていた。
うららは短い悲鳴を上げた。
小泉は下にいる知本目がけて、うららを思い切り突き飛ばした。
「小泉警部っ!!」
知本はうららを受け止めながら、叫んでいた。
ガラガラと天井が崩れ、煙りが舞い上がる。
砕けたコンクリートの隙間に、小泉の体が挟まっていた。
下敷きにならないよう、
上手く体を隙間に滑り込ませているが、
その顔を見れば、無事ではないと分かる。