小泉は震える声で、杉村にお礼を述べた。
「杉村警部… 今までありがとうございました…」
杉村はもう助からない。
それは見れば分かるものだった。
小泉の涙が、杉村の頬に落ちていた。
杉村が掠れた声を絞り出す。
「小泉…逃げろ…
この建物には…爆弾を仕掛けてある…
間もなく爆発する…
上から順に爆破され…全てが崩壊する…
逃げ……ろ………」
杉村が目を閉じた。
小泉に最後の命令を下し、息を引き取った。
小泉は泣き叫びたい気持ちを堪え、
杉村を離して立ち上がった。
携帯電話で、すぐに本部に連絡する。
爆弾の存在を話し、今すぐ全隊に退却命令を出すよう伝えた。