小泉の背後が、騒がしさを増していた。
数十メートル先の階段からは、戦いながら機動隊が2階に上がろとしていた。
1階は制圧され、信者達は後退しながら階段で抵抗を続けていた。
怒号が飛び交い、悲鳴が聞こえる。
ぶつかり合う金属音に、発砲音。
まるで戦場のような有様だった。
ふいに、杉村の視線が小泉から逸れた。
小泉の向こうの、何かに目を見開く。
それと同時に、小泉も背後の異変に気付いていた。
拳銃を投げ捨て、うららを隠すように、上から覆いかぶさった。
小泉の背後数メートルの距離に、マシンガンを手にした信者の男がいた。
片目は白目を向き、口からよだれを垂らし、
腕は、覚醒剤の注射跡が生々しい。