うららは悲鳴を上げた。


丸山が、前のめりにバッタリ倒れた。


床にたちまち血の池が広がる。


白装束が赤黒く染まって行く。



丸山陽子は、頭をゆっくり持ち上げうららを見た。


最後の力を振り絞り、うららに向け手を伸ばす。



「アバタリ…」



その言葉を最後に絶命した。


伸ばしていた手はパタリと床に落ち、狂気に満ちた目から光が消えた。




丸山の後ろには、杉村が立っていた。


死んだ彼女を憎々しげに睨みつけ、

手にした拳銃からは、硝煙が一筋、尾を引いていた。



小泉がうららを引き寄せ、背中に隠す。


脇腹のホルダーから銃を引き抜き、杉村に向けた。



小泉の右肩からは、依然として血が流れている。


銃を持つ手を左手で支え、痛みに耐えながら、かつての上司に銃口を向けていた。