うららは慌てて戻ろうとする。
今度はそれを、小泉が止めた。
「行くな! うらら行くなっ!
お前はこっち側の人間だろ?
行っては駄目だ!」
二人の間で、うららは迷っていた。
うららの心は教団にはない。
小泉の側に行きたいと強く思う。
でも、そのせいで小泉が殺されるのは嫌だった。
丸山陽子が、拳銃のセーフティーレバーを押し下げた。
引き金にかけた指に、力を込めようとしている。
大きな銃声が鳴り響く。
うららは体を震わせた。
それを撃ったのは…
丸山ではなかった。
彼女は引き金を引く前に、撃たれていた。
背中から撃ち込まれた弾丸は、彼女の肺と心臓を食い破り、
胸から抜けて、コンクリートの壁にめり込んだ。