聖受胎の儀式は中断されたが、うららの恐怖は続いていた。
教団関係者となってしまったこの身では、
警察が来たと、喜んでいいのかも分からない。
人の出払った広間に、うららと丸山陽子が残された。
丸山はうららに近付き、腕を掴む。
「アバタリ様、一緒に逃げましょう」
その言葉を、うららは拒絶した。
「い、いやです…」
丸山は手に力を込める。
うららは腕に痛みを感じた。
「来なさい!
アバタリを失えば、マハーカラ様は復活できない。
教団は滅びてしまう。
早く来なさいっ!」
丸山の口調が崩れた。
言うことを聞かないうららに、苛立っていた。
怒鳴られても、うららは拒否し続けた。
足を踏ん張り、丸山の腕を外そうと引っ掻いた。