時計は早朝4時を指していた。
冬の日の出は、まだ先のこと。
真っ暗な田舎町の廃校舎は、既に警察に包囲されていた。
闇に潜む彼らに気付いているのは、杉村だけ。
うららも信者達も、知らないことであった。
4時を10分過ぎた時、
まどろむうららの所に、丸山陽子がやって来た。
「アバタリ様、お目覚め下さい」
その声でうららは目を開ける。
そして再び恐怖が始まった。
丸山が言う。
「お時間です。儀式の用意は整っております。
さあ、参りましょう」
儀式が何をする物か分からないが、いい予感はしない。
きっとまた、狂信的な信者の前に立たされる。
それを想像しただけで、うららは怯えた。
首を横に振り、掛け布団を引き寄せ、精一杯の拒絶を見せる。
それは無駄な抵抗だった。
丸山が合図すると、男が入って来た。
うららを強引に抱え上げる。
うららは成すすべなく連れて行かれた。