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うららが教団に拉致されてから、数時間が経過していた。



大勢の信者の前に出された時は、怖くて怖くて仕方なかったが、

今は落ち着きを取り戻していた。



「アバタリ様の部屋です」

そう言われ、連れて来られた部屋は2階にあった。



教室を半分に区切り改装されて、

ベッドにソファーとテーブル、タンスやテレビまで置いてある。


そのまま残された黒板だけが、学校の名残を示していた。



窓は板で塞がれ、脱出できない。



うららはベッドに横になっている。


着衣は白いワンピースに着替えさせられていた。



部屋の中には、灯油ストーブが赤々と燃え、暖かい。



小さな明かりが灯る部屋には、うららだけがいる。


ドアの向こうに見張りの気配を感じるが、入ってこない。



不安はあった。

でも今は、恐怖から解放され、心は落ち着きを取り戻していた。



一時の安全地帯に疲労がどっと押し寄せ、ウトウトしかけていた。