あの異様な集会に、杉村は参加しなかった。
アバタリ奪還を一人でこなした彼は、疲れて気分が悪いと理由をつけ、
教室を改装した一室で休む振りをしていた。
この建物にいる信者達は、見張り2名を残し、みな集会に参加している。
単独で動くには、今がチャンスであった。
杉村は辺りを警戒しながら、暗い廊下を進む。
まずは3階から。
細長い校舎の四隅と中間地点の柱に、何かを取り付けていく。
それが終わると2階へ。
同じ作業を繰り返す最中、廊下の向こうに巡回する見張りの足音を聞いた。
コツコツと響く靴音に、素早く柱の陰に身を隠す。
暗闇の中、杉村の姿は見付からなかった。
難無く見張りをやり過ごし、今度は一階に下りた。
ここでも同じ作業を繰り返す。
柱に何かを取り付け、何食わぬ顔して元いた3階に戻って行く。
まだ集会は続いているようだ。
アバタリ奪還に狂喜する声が、ドアの隙間から漏れている。