そして藍子はまた口を開いた。



「き、昨日は中村さんにお世話になったあげく、洋服まで貸してもらっちゃって。店長と大野さんにイジられましたよ〜」





余計な事を言ってる。





そんなのわかってる。






でも、心のどこかで思ってるんだ







黒川さんが、ほんの一瞬でも嫉妬してくれたらいいのになって。





「あ、私着替えてきますね」





そんな幼稚な自分が惨めだった。




恥ずかしかった。





でもこんな方法でしか黒川さんの気を引くことができないんだ






私には、人を好きになる権利なんかない