目に涙をいっぱい溜めて、溢れないように必死でこらえる私の姿を見て、中村さんは私の手を引き抱き寄せた
「そんなに、辛い思いしてあの人を想わなくてもいいんじゃないかな。誰かを好きになる事は簡単なことじゃないけど、でも今の恋を忘れて次を見据えるのも大事な事の一つだと思う」
「でも、、、、、」
「僕はいつでもあいてるからね。てか、川奈さんのためにあけてあるんだけど。心配しないで、僕のところへは寂しくなったらおいで」
私はただただ中村さんの声と胸の鼓動を聞きながら、涙を流していた。
気がつくともう夕方で、中村さんも私を抱きしめたまま眠ってしまったみたいだ。
そしてふと時計を見やると、
「へ!?な、中村さん!早くバイトに行かないと遅れちゃいます!」
午後3時50分
時間まで後10分といったところだ