「お、お返事…は…」

消え入るような声。

返事?

…あ、そうか。

『付き合って下さい』のか。

どうすればいいんだ。

考えてなかった、というか考えようがなかったと言うか。

だってこの子が差出人だって知ったの今だぞ?

相手が誰だか分からなかったのに返事の用意なんて出来るわけが無いだろう。

しかし―・・・

目の前の相手を見る。

か、可愛い。

泣きそうな目をしながらも、目線も逸らさずに俺と目を合わせている。

俺と、まっすぐ目を合わせてくれている。

何て言うか…

この子を泣かせるのは、嫌だな。

そう感じると同時に、俺は頷いていた。

彼女が呼吸を止めた、ように思える。

それどころか、その瞬間の空気が止まったかと。

俺はその空気の中で精一杯笑顔を作る。

とはいえ、少し口角が上がっただけのような気がしないでも無いんだが。

「ありがとう。――-俺で良いなら、付き合って欲しい。」

言葉を絞り出すと、彼女の目からは大粒の涙が溢れて。

「うわ!?な…俺、何か」

悪いことでも、と訊こうとしたが、彼女は顔を上げて笑顔を見せた。

眉はハの字になっていて、泣き笑いだったが。

その顔は、今度は俺の呼吸を止めてしまう程可愛かった。

「…あ、ありがとう、ございますっ」

その言葉に、俺は黙って彼女の頭を撫でた。

…と言うか、その動作にガチガチと緊張そてしまったので、撫でるというか手を置くだけになってしまった感は否めない。

それでも彼女は嬉しそうに笑ってくれた。

こんな感じで、彼女と俺は

カップルになったのだ。