「何で謝ったんだよ。

ちゃんと説明してくれ」

彼女の方まで歩いていってそう言うと、またも小さい体を縮こまらせてしまった。

言い方、キツかったか?

…や…そうだよな。

命令口調だし、自分で聞いてて棒読みっぽいと思う。

もっと優しく言えればいいのに。

顔や図体がどうなんて関係無い。

これは明らかに俺が悪い。

でも、だからこそ直しが利くと言うものだ。

俺が努力すればいいだけなんだから。

変わりたいのは今。

それなら行動を起こすのも、今だ。

少し腰を折り、彼女に近づいて

「言い方キツくて悪い。

俺、直せるように努力するから…

だから、ちゃんと思ったこととか教えて欲しい。

…話しあわせて、下さい。」

頭を下げると、彼女の息をのむ動作が伝わってきた。

そんなに驚くほど、俺が頭を下げるのは珍しいだろうか。

…いやまあ、珍しいけれど。

「あの…頭上げて、ください…」

消え入りそうな声。

彼女を見ると、何か言いたげにしている。

俺は黙って続きを待った。

「その…私、どうしたらいいか…わからなくて。

せっかく挨拶、してくれたのに、無視して」

そこまで言うとまた俯く。

「…だから、ごめんなさい」

え。

「って、それだけ?」

目を開いて言うと、彼女はうなずきかけたが、首を横に振り

「…“それだけ”じゃないよ。

大事なことだもん」

と訂正した。