「ごめん…。」

文字にしたらたった3文字。

口にしたらたった数秒。

でも、私にとっては、初めての初恋の結末を決める大切な言葉だったのだ。

結局、私はどこかで、カップルとなる未来を予想していたのだ。

今更気づいてしまった。

必死で涙を堪えて、笑顔を作った。

「舞友…?」

「ああ。多分…。」

「ありがとう。私、あんたが大好きだった。言葉では伝えられないほどに。だから舞友と絶対に幸せになって。私、祈ってるから。」

「お前…。」

「ほら、もう戻んなよ。私はいいから。」

心の中には文句の方があった。

幸せになってなんて嘘に決まってる。

どうして舞友なの?
期待させるようなこと一杯しといて。

お祭りも舞友を誘って断られたから私を誘ったの?

口を開けばそんな言葉しか出て来そうにない。

だから一気にまくしたてた。

「行けって。」

最後にそう呟くと、海斗は本当に困ったような顔で言った。

「ごめん…。」

そして、出店の方へ走って行った。