“清(きよ)兄サン・・・ドウシテ止メルノ?”

“祇儀サン、ドウシテ、ソンナ目デ見ルノ?僕ハタダ、解剖ノ勉強シテイタダケナノニ”

“ネェ、ドウシテ・・・?”


「いろんな世界で無作為に連れ去って、何の躊躇いもなく殺して・・・バラバラにしたんだ。解剖と証してな。」


“ココカラダシテヨ!兄サン!!コレ、外シテヨ!!兄サン!!”


「僕は、彼を裁きたくなかった。事実を信じたくなかったんだ・・・だけど、そこに居た彼は、もう僕の知る彼じゃなくなってた。助ける事ができないレベルに達してたんだ。」


“嫌ダ!!離セ!!離セヨ!!”


「彼は、地獄の血の池の中で眠ってるよ。あそこには、どんな罪人が眠っていると思う・・・?」


“兄サン!!助ケテ!!助ケテ!!”


「再犯率がかなり高く、猟奇的犯罪を繰り返した第一級以上の凶悪犯罪者だ。“永久封印刑”の執行場所なんだ。あそこに入ると、二度と出られない。誰にも会うことも出来ず、話すことも出来ず、死ぬ事も許されず、ただ孤独に眠り続けるだけだ・・・」


祇儀の口から語られたある男の話。
祇儀と清澄、彼らが隠し続けた“ある真実”が弦龍と虎黎、そしてそこにいた誰もが、言葉を奪い取られてしまった。