「弦龍・・・虎黎・・・」
虫の息に近い、荒い息と共に喉元を絞りだし言葉を吐き出していく禮漸。朦朧とする意識と戦いながら、静かに口を開き始めた。
「家族も仲間もいねぇ・・・住む世界がちがうだ・・・ふざけんじゃねぇぞ。じゃ、俺は何なんだよ・・・俺はお前らのなんなんだよ。友達(だち)じゃねぇのか?仲間じゃねぇのか・・・答えろや・・・なぁ・・・黙ってねぇで、答えろ!!」
血走った禮漸の目が、彼らを睨みつける。思わず目をそらした虎黎。それを見た禮漸は、虎黎の顔を右手で力任せに掴むと「そらすんじゃねぇ!」と怒鳴りつける。
「俺は、お前らの言葉で決める。だからさっさと答えろ。」
禮漸は、力任せに虎黎の顔を掴んでいた右手をまるで物を投げ飛ばすかのように離す。虎黎の顔には、くっきりと指の形をした痣が出来ていた。
あまりの恐怖で、口を開く事ができなくなっていく弦龍と虎黎。睨みつける禮漸。そんな彼らに祇儀が思わず、口を挟んでしまう。
「清澄、話していいかな?」
何を話したいのか分かっている清澄は、祇儀の目を見ながら首を縦に動かした・・・。それを見た祇儀は、重い口を開き始めるのだった・・・