「これは、酷紫蝶(こくしちょう)と言って、本来、地獄に生息する蝶です。なので、地獄以外では生息できません。しかし、唯一、この蝶を操ることが出来る者がいるんです・・・。」


「操る・・・者?」


「はい・・・茨木童子の虎黎です。こんな事が出来るのは彼しかいません。」


清澄は、そういいながら彼女の首筋の蝶の模様に爪を立てた。そして、無理やり蝶をはがすと、パチンと指を鳴らす。すると、蝶は燃え上がり、灰になって消えてしまった。


「深波は、彼女をスタッフルームに運んでください。弦九朗は、大王様と奥方様に報告、隼丸は各部屋の安全確認をお願いします。」


清澄の迅速な判断の元、列車内の安全確認を始めていく。


「椿・・・椿!」


緑涼は慌てて部屋に戻ると、そこに椿の姿がない。
慌てながら、部屋のドアを開けていく緑涼と清澄。そして・・・


「椿!」


風呂場の隅で身を潜めていた椿を緑涼が発見。力強く抱きしめた。