その頃、緑の間では・・・
「おれここ~~~!!」
「ずるいべや!!俺もここがいいべや!!」
火燐と風燕でベットの取り合いが始まっていた。
「おめぇら、寝る場所なんて、どこもかわんねぇだろ(笑)」
そういいながら、徳利片手に彼らを諭す弦九朗。
その顔は、まるで父親のような顔をしていた。
緑を貴重とした風の間は、椿達の部屋と同様に畳張り。しかし、壁紙や風呂場が竹林をイメージしているかのようなデザイン。そして、各部屋に置かれている小さな香木が、癒しを与えている。
一方、海の間では・・・
「は~、すっきりした。」
深波がバスルームから帰ってきた。蓮流と深波は、部屋に入るや否や風呂場へ直行。交代で一浴びしてきたのである。
「やっぱりお風呂気持ちいいね(笑)」
「うん。」
そんな彼らの様子を見ながら禮漸は笑う。
「どしたの?」
禮漸にそう尋ねる蓮流。不思議そうにする蓮流に禮漸がこう返した。
「やっぱり、水分補給は大切なんだなって(笑)」
そういうと、禮漸はキセルを銜え、火をつけた。
蒼を貴重としたその部屋に、薄く白い煙が“もこっと”上がっていく。
その姿を見た蓮流は、心のどこかにあった不安を打ち消したのだった。